遣唐使船の歴史を細かく描写した本。
作者独自の調査はふんだんにあり、なかなか秀逸な本です。
例えば、遣唐使をかたくなに拒んだ大使がいたことや、唐についても、都のあった長安まで行けたのはほんの一握りであったこと、また、日本の天皇は世界絶対の立場だったのに対して、唐の皇帝も世界の絶対君主であり、隣国は全て蛮国であったため朝貢という建前だったのですが、日本は国内ではそれをひた隠しにして、中国に対しては朝貢の立場を取っていたことなど、とても興味深いです。
そこまでして遣唐使を行った理由は、朝貢に対して与えられた中国からのお土産が莫大であったこと、また当時最先端の国だった唐の先進的な書物や文化を学べたことがあります。滞在費も全て唐が出していたそうで、唐にとってみれば有難迷惑だったようです。
ここ5年でも5本の指に入る面白い本で、スラスラと読めてしまいました。