学生時代に地理学を学んでいたので、未だに地図を見るのが大好きです。
ひどいときには1日3時間くらいにらめっこしていたりしています。
学生時代は、インターネットなんかなかったので、ひたすら地図を買ってお金を浪費しました。
今はネットで地図がみられるので、いい時代になりましたよね。
さて、地図を見ていると、さまざまな境界の形があってとても面白いです。
特に、飛び地だったり、いびつな形をしている境界は、必ず、ワケアリです。
私が独断と偏見で、日本の境界で面白い場所を紹介したいと思います。
マニアックすぎますけどね(笑
1.島の真ん中になぜか県境が?
香川県の直島の北側にある島で、なぜか、この島のど真ん中に、岡山県と香川県の県境があります。
岡山県側(北)は、石島といって、人が住んでいます。
香川県側(南)は、井島といって、人は住んでません。
島のまわりはサワラなどの好漁場となっており、岡山側と香川側で境界の争いが絶えませんでした。
江戸時代の1702年に、幕府が島の東西に境界を引く形で決着したと言われています。
高松市の沖にある、大槌島も、県境があります。これも、同じ理由で、1732年に江戸幕府が境を引きました。
同様の島が、広島県と愛媛県の間にある、瓢箪島にもあります。
また、兵庫県の赤穂市の沖に、取揚島という島がありますが、なぜか、ここに岡山県と兵庫県の県境があります。
ここも、境をめぐって争いがあり、裁定の結果、県境が引かれました。
2.福島県にしっぽがある?
福島県の形をよーく見ると、とても不思議な形をした場所があります。
ラーメンで有名な喜多方市の北西の方角に、にょろっと伸びたシッポがあるのです。
なんなんだ?これは?
そうです。なぜか、飯豊山の山頂付近まで、細い登山道があり、盲腸のような福島県の「領土」があるのです。
飯豊山は、福島とは切っても切れない神聖な山です。
山頂付近には、飯豊山神社の奥の宮があり、この盲腸のような県境は、福島県側のふもとにある飯豊山神社の参道だったんですね。
このように長く伸びた県境や市町村境には、神社や寺などが関係していることが結構多いです。
3.松原市を突き刺す大阪市
大阪から、松原市方面に非常に細長く突き出た境界があります。
これも、飯豊山と同様、神社が関係します。
境界を表す地図として重宝しているマピオンだとよくわかります。
阿麻美許曾神社(あまみこそじんじゃ)という神社が、大阪市東住吉区矢田側にあり、そこから南側に伸びた参道が大阪市側として認められた例です。
元々、矢田村の守り神である、阿麻美許曾神社ですが、江戸時代に大和川の付け替えにより川が矢田村を分断してしまい、南側が切り離されてしまいました。その切り離された地域は松原市に編入されたのですが、神社の周辺とその参道は引き続き、矢田村(現大阪市東住吉区)に属することになったのです。
4.え?なんでこんなところに飛び地が?
日本各地には飛び地が多くあります。結びつきや関係性の理由だったり、領地だったり、市町村合併の結果だったり、理由は様々です。
例えば、有名な飛び地だと、和歌山県北山村がありますね。人口400人程度の小さな村です。
村全体は和歌山県本体とは接しておらず、まわり三重県と奈良県というものです。
市町村全体は飛び地というのは日本でもここだけです。
昔から、ふもとの新宮に対して木を切り出して運んでいた関係で、新宮と非常に強い結びつきがあり、廃藩置県後も、和歌山県への帰属を望んだ結果、長らく飛び地となっています。
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ただ、私が注目するのは、ここではなく、神奈川県南足柄市にあります。
南足柄市は、神奈川県の西に位置する街ですが、この市の中に、お隣、開成町の飛び地があります。
通常、飛び地は、割と近くにあるものですが、この南足柄市の中にある開成町の飛び地はむちゃくちゃ離れています。
上記のマピオン地図で見ると、いかに離れているかわかると思います。
一番遠い飛び地で、2.5kmも離れています。
気になってしまい、調べました。
すると、非常に興味深い、苦難の歴史が理由であることがわかりました。
開成町には、酒匂川(さかわがわ)という川が流れています。
これが大変な暴れ川で、度々水害が発生し、多くの農民が家を追われました。
そこで、開成町の村々は、川から離れた山の手に、避難場所を所有し、水害があった時に一時的に住む場所を確保し始めたのです。
それが今の飛び地というわけです。
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富士山の麓にも、飛び地があります。
富士河口湖町の飛び地が、なぜが富士吉田市内にある、富士山の中腹にあるのです。
これも神社がらみですね。
身延町の飛び地も同様の理由です。
七面山の山頂東北部が歴史的に身延町の久遠寺の寺領となっており、飛び地になっています。
牛久市内にある、龍ヶ崎市の飛び地も、女化(おなばけ)神社の境内となっています。
こうした理由の飛び地は全国各地にあります。
境界一つ取ってみても、歴史があり、とても面白いです。
今度ゆっくりと回ってみたいですね。